look inside

w18.4 x h26 cm
134 ページ
85 イメージ
上製本布装、ダストカバー付き
フルカラーオフセット印刷
初版
Published in 2016
ISBN 978-4-905052-92-0

The Last Son

Jim Goldberg (Sanfrancisco, USA)

『The Last Son(末息子)』は、ゴールドバーグの自身の「自己形成の物語」(ビルドゥングスロマン)を 描き出すスーパーラボによる三部作のシリーズの2番目に当たる写真集。彼は自らかき集めた数々の思い出の画像を用いてこ の三部作を織り上げている。ゴールドバーグの父はキャンディの卸売店を営んでいた 人物、彼はその父の末息子であった。ゴールドバーグは写真と文章のモンタージュを通じて自らの過去を 深く遡っていく。それを通じて彼は、彼の夢とともに自らの父の夢をも辿り直すことになるのだ。コンセ プトの点で本作は、最近改訂版が出版された『Rich and Poor』(シュタイデル、2014年) -ここで彼は、子ども時代が自らの作品に与えた影響をより徹底的に検証している - からインスピレーション を受けている。

『The Last Son』が描き出すのは、一人のアーティストとしてゴールドバーグが成長していく過程であり、 また彼の父が自身の夢を実現できなかったことを受け入れていく過程である。その物語はより広く、アメ リカ的な忍耐力、家族の力学、最も身近な人々の期待を越えようとする努力についての話とも読める(ここでは、ゴールドバーグは「できそこない」という家族内の自分の役割を乗り越えようと格闘する)。写真、コラー ジュ、手書きの文章、ホーム・ムービーから採られたスティル写真を織り交ぜながら、ゴールドバーグは 自らのアーカイヴを掘り起こす。それによって彼は、自分が写っている最初の写真を起点とする一つの記 憶の物語を築き上げていく。本書は、数多くの要素が横溢する数々の頁を彫刻のように立体的に集成した ものであり、それが彼のストーリーテリングのプロセスと相互作用しあう関係にあることは手に取るよう に明らかだ。『The Last Son』を通じて私たちは、人間の来歴から意味を取り出してくるゴールドバーグ の感情移入的なプロセスを触覚的に察知することができるであろう。

『The Last Son』は、ゴールドバーグの『134 Ways to Forget (忘れるための 134 の方法)』(スーパー ラボ、2011年)に続く写真集である。『134 Ways to Forget』はゴールドバーグの写真と文章を雑然 と並べたインタラクティヴな両面印刷のポスター/ZINE で、134 通りの組合せ方を可能にすることで彼は それらの要素の関係性を忘れさせている。

スーパーラボの三部作の最終巻でも、ゴールドバーグはひきつ づき自分自身の軌跡を辿り続けていく。そこには、彼が 1970 年代にアジアを旅していたときに撮影した 未公開の写真作品も収められる予定である。